てのひら鍼灸院は働くみなさんを応援しています。仕事も子育ても大変なとき、自分のために鍼で健康管理!

がん患者ケア。基本治療はしっかり受けて!

鍼灸師あるあるですが、ガンと診断されたら

「抗がん剤治療は受けないほうがいい」という鍼灸師がいたりします。

近藤は、絶対に反対です。
しっかり基本的な治療を受けてください。
その上で、補助的に他の療法を取り入れるのがポイントです!

 

余計なことだけど、近藤の体験談です。

基本治療一通り受けた

思い返せば開業する準備している4年前、乳ガンが発覚しました。
発覚した時、「すぐさま手術?全部切ってくださいね!」と言ったのですが、

「体のどこに飛んでるかわからないから、まず抗がん剤で全身を治療。それから手術にする。」

という医師の判断で、まずは抗がん剤で叩いて、それから手術、となりました。リンパ腺や胸骨の方にも行ってるようでしたから、確かに他にも転移しているかも。

うむ、納得しました。

抗がん剤 上等!さあ来い!

がんにならないと抗がん剤は打てないですからね。チャンスです。どうなるのか?体験してみましょうとも。

ここで基本治療を受けないという選択肢は私にはありません。

鍼で治療?とんでもない!

良いですか?我を忘れてガンガン増えていく細胞です。「私の一部だ」という認識はあったけど暴走してしまった細胞です。

叩いて取ってもらってください。

抗がん剤治療

1クール2ヶ月を通院しながらの点滴治療を受けて、抗がん剤の種類を変えてもう1クール。5ヶ月くらい点滴し続けました。

副作用は:

毛髪抜ける:髪の毛は本当に頭のガードに役立ってたんだと実感す。頭をちょっと壁にぶつけただけで痛い。ガーゼ帽子なんて作ったりしました。何か巻いとかないと怖い。開院した年は鍼灸院ではウィッグを被っていました。

2種めの抗がん剤では味覚が全くなくなった:しかし嗅覚はある程度残っていた!青臭い匂いはわかったので、グリーンピースやサヤエンドウは、口に入っても認識できた。味覚の細胞はやられるのに嗅覚は平気なんだな。面白いです。

この神経がやられた感じは、足の指の裏に残っています。一皮かぶっているような感覚です。これは他の乳がん患者さんもおっしゃっています。指先にもあるかもしれませんがあまり感じません。接触刺激をしっかり与えた方が神経の復活を促すように思います。

予想よりも元気に動けていました。。。動けていたけれど、「ああ、体に毒を入れてるなあ」と実感していました。点滴する血管が、まず硬くなってしまいますしね。致し方ない。ガン細胞よ、すまんね。という気持ち。

手術

パンッと全摘してくださいよ、と言ったのですが、

1,抗がん剤で乳房のガンはすごく小さくなったし、リンパ腺のは触診できないくらいになった、

2.全摘しても部分切除にしても5年後の生存率に差がない

3.再発した時に切ればいいじゃない?

3の理由は、なんだかなあと思いましたけど。だってそういうのがヤだから今全部切っちゃってくださいよ、と思ったのに。しかし生存率に変わりないなら、まあいいか。

ということで、部分切除。

綺麗に縫って下さいましたが、やはり腋窩のリンパ腺切除のせいで一部分、脇に皮膚感覚のないところがあります。ムダ毛処理の時によくわからないだけで、普段問題なし。

放射線治療

続いて放射線治療を1ヶ月ほど受けました。

これは患部に鈍痛が起こり、体にだるさが出てしまいました。予想以上に堪える。本当に、予想以上でした。どこが痛いとかじゃないけれど、だるい。放射線を当てている部分の鈍痛も。

鈍痛というのは、ジワジワくるので堪える。真綿で首を絞められていいる感じ。

鍼灸併用

そして、鍼灸師ですので、
抗がん剤治療の時から自分で自分に鍼灸をやっていきます。

鍼灸を受けていて良かったんだろうなと思ったのは抗がん剤を打っている時、ともかく気力・体力が落ちすぎなかったことが一番だと思っています。

行っていた鍼灸治療は
経絡治療の本治法:だいたい腎虚脾実
表治法:
・ガン周辺、リンパ節、胸腺などガン細胞があると思われるエリア周辺にお灸・陶器灸(温熱療法)
・その他肩こりなどサブで出てくる症状のところに鍼、灸
・術後から放射線治療の時は傷の治りをよくするためと放射線治療の影響を弱くするために術部周りに鍼と灸で補法

術後あたりから体が抗がん剤の影響下から抜け出て味がわかり始めてきた!毛髪もなんとなく産毛が生えてきた!
やれやれ!食べ物が美味しいって幸せなことですね。髪もね。

★あまり食べられなかった3ヶ月の後、それから3ヶ月くらいして体重が減りました。どんなダイエットも、体重に出てくるのは、予想以上に「後」ですよ★

鍼灸を受けていて良かったのか?と聞かれると、良かったと心底思っています。
術後、腋窩のリンパをとったことによる浮腫は避けたかったし、本当のところ私のやる鍼灸が効果を発揮したかどうかもわからないけれど、気血の流れは良い感じだったので予防にはなっていたように思います。でもこれは個人的感想です。

自分で鍼灸をやると同時に、鍼の勉強会の時に他の鍼灸師の人に治療してもらっていましたし。乳房あたりのトラブルがあると、だいたいその後ろ側に当たる肩甲骨や背中が凝ったり痛くなったりします。そのへんのケアもしてもらえたので、体は楽になる。本治法(経絡治療)をやってもらうことで安心感が得られる。

心の支え、にもなっていたと思います。そして、今も時々受けることで乗り切っていく。鍼灸はそういうものになっています。

一連の治療を乗り切るために

鍼灸は痛み止めの効果が高いとされています。
特に経絡治療は経絡の調整をしていくことをベースにしているので、体の力を根本的に高めていく方法です。

治療の結果がどうなるかはその患者さん次第のところが、実はありますよね。副作用の出方も人それぞれです。

体力をつける、心を柔らかくする

ゆとりを持って生活できるようにすると気力が充実することで様々なストレスを乗り越えていくことができる、と思っています。

こういうのが辛い、と話をするだけでも違うのと同じ。

いや、鍼灸は体も一緒にケアするからもっと効果的だと思っています。

治療中の皆さん、お近くの鍼灸も受けてみてください。(確実に! 通うのが楽なところがいいです)

きっと、少し楽に治療生活を送れるはずです。